目薬αで殺菌します (講談社ノベルス モF- 43)森博嗣 ¥ 924 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
目薬αで殺菌します (講談... | |
| とても落ち着いた作品だと思います。森作品はすべて読んでいますが、文章が美しい。このシリーズでは、鋭利という言葉は当てはまりませんが、鈍いながらも真理がある様な感じです。 この一作だけでも、読み応えはあると思いますが、伏線の中の一つに過ぎないのです。これからの続編が楽しみなのですが、その反面怖いという感情もある、そんな複雑さのある感覚です。 もし、迷っているとしたら、最初にこの作品を読む事はお勧めはしません。出来ればS&Mシリーズから読む事をお勧めします。私は処女作「全てがFになる」から読んでいるのでこの評価です。 作中世界のリンクが様々なシリーズに貼られているため、最初にこれを見ても 何がなんだか分からないと思います。派手な事件が起こるわけでも 目を張るようなトリックがあるわけでもないので。 ただ、連続して読んでいると、作品間のつながりがドンドン濃くなっていき、 続きを早く読みたいという気分になります。 ハマると怖い一冊ですね。Gシリーズ7作目は、毒物混入事件です。しかし、特にトリックがある訳でもなく、事件の詳細が語られる訳でもありません。Gシリーズの根底に見え隠れする真... | ||
おそろし 三島屋変調百物語事始宮部みゆき ¥ 1,785 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
おそろし 三島屋変調百物語... | |
| ●まず時代小説なんですがあまりその点で手を控えている人は誤らないでください。普遍性のあるテーマばかりですからあるあるという感じでドキュメンタリー感覚で読めると思います。時代小説の設定や風景に頼るところは全くありませんので純粋に登場人物の心の動きを探る楽しみ方ができます。●ただ異様に過激な暴力が多くときには死につながり後味が悪いです。経過までの心理描写は納得行くのになぜか暴発の引き金が不可解で非常に混沌とした印象です。刃傷ではなく大抵棒だったり素手なので執拗で凄惨です。ちょっと何とかならなかったのでしょうか。昔のような闊達さや人間の英知、動機・結果の納得感のようなことが最近の作品からはトンと失せてます。●特に気になったのは中盤終わりくらいのお福という女性のみにまつわる一件、有能で忠義深い使用人を非常に理不尽な形で失っています。それなのにお福はあまり苦悩していないし、その張本人であるお福の父親と犠牲者があるきっかけでまた出会いますがやはり詫びていません。江戸時代の奉公人に対するあるじの一般的な振る舞い考え方を冷淡に切り取っているのですがこれもやはり私には不可解で暗い影を落としました。●終... | ||
スカイ・クロラ (中公文庫)森博嗣 ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
スカイ・クロラ (中公文庫) | |
| 静かな激しさと、激しい静かさを感じました。生きることの明確さが彼らにはあり、かたくなにそう生きる事を望んでいる素敵な単純さが私は好きでした。 私はこの巻から読み始めましたが、こういう結末であることを知った上で読んだ後(前)四作品も面白く読むことができました。この結末を知ってからこそ!!と思える所もあったと思いますので私はスカイ・クロラから読んでよかったと思います。出版順は、スカイ・クロラが最初に出たものなのです。 執筆者のブログに「スカイ・クロラ」が最終巻だということが明記されていました。 ただ、執筆者が出版順を敢えて最終巻から書いたというのは、スカイ・クロラから読むべきなのだろうかと執筆者のHPで見たところ、そういう質問が沢山あったようで。 回答は、「ナ・バ・ティア」から読むべきではとのこと。 理由は簡単。第一巻だから。 私は、出版順に&ここのレビューでスカイ・クロラは最終巻じゃない!!という言葉が大半を占めていたのでそれを信じました。 だからといって、後悔とかそういうのは一切ありません。 ナ・バ・ティアから読んでも、スカイ・クロラから読んでも、きっと最初に読んだものに戻ってし... | ||
モリログ・アカデミィ 11 (11) (ダ・ヴィンチブックス)森博嗣 ¥ 704 通常24時間以内に発送 |
モリログ・アカデミィ 11... | |
| ・・・ | ||
スカイ・イクリプス森博嗣 ¥ 1,785 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
スカイ・イクリプス | |
| このシリーズの内容は本当に好きなのですが、 カバーの左下にくっついてくる 「スカイクロラ 全国ロードショー」みたいな宣伝が邪魔不愉快です。 このシリーズのハードカバーの装丁は非常に綺麗で、 本の中身と外観とどちらからも潔癖な感性が感じられます。 それゆえ本棚にあるこのシリーズを見るだけで、 「綺麗なものだけ見ていたい」そういう感情を抱かずにはいられないものでした。 しかし最近付き始めた、その綺麗な空の中にあまりに無粋に浮かぶ宣伝文句。 空の中にまで「重い汚れ」が入ってきたみたいで非常な嫌悪感を感じてなりません。 なんでこういうことをするのかな各種短編集でまとめられ、色々な登場人物の視点から書かれています。 サクラの視点・ティーチャの視点・ミズキの視点・クサナギの視点の短編が大好きです。 あの後は・・・というような続きであったりと、シリーズを読んだあとに読まないと味わえない一冊です。 シリーズで、謎だった部分があって(感の良い方は気づいたかもしれないけど) 気づいていなかった私は、おぉ!?という解明される部分もあります。 で、また読み返すと(笑) また、謎も増えますけどね。(え?... | ||
火車 (新潮文庫)宮部みゆき ¥ 900 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
火車 (新潮文庫) | |
| 作品的には、非常にありきたりではない推理小説のプロットだと思います。 推理小説としてどうかという感想より、 やはり物語自体の心理については・・・。 人の命までを奪って、自分の過去を消し去り新しい人生を手に入れるという 心理については、人それぞれの共感があるのでしょう。 人それぞれの人生感は、一個人では計り知れないものがありますね。 計り知れない感情や心理が犯罪や犯行を生み出す世界が フィクションであり、現実と表裏一体の中で、作品に出会い考えさせられるのでしょう。 本作は宮部みゆきの社会派ミステリーの傑作です。 勤務中に負傷して休職を余儀なくさせられた本間刑事は、 遠縁の若い男に相談を持ちかけられ、請け合った。 その相談とは、ひょんなことから踪した婚約者を探し出してほしいというものである。 しかし、簡単な調査で見つけ出せるだろうと高をくくっていた本間の前に姿を現したのは、 失踪した女性の完璧なまでの偽装工作と、 その女性を陥れたと同時に隠れ蓑を提供する、現代日本の都会の深い闇だった…。 本作が素晴らしいのは、まず、多重債務という社会問題につき読者を啓蒙していること、 次に、多... | ||
ナ・バ・テア (中公文庫)森博嗣 ¥ 680¥ 866¥ 950 ★★★★★ |
ナ・バ・テア (中公文庫) | |
| スカイ・クロラから時間をさかのぼったクサナギスイトの物語。 空は幾分、死に近い。空戦はゲームに似ていて、死はキルドレにとって単なるゲームオーバーだ。爆音も、手に残る衝撃も、Gも匂いも吐き気も、事実ではあるが生々しさには遠い。 キルドレたちは生や現実に感情を吐き出さない。 子どもにとって、死は近い。まだ生の実感から遠いからだ。普通の子どもはだから死をひどく恐れる。キルドレにとっては、死も生も同じ無関心さの先にある。 ならば何故、ティーチャは飛ぶ?ふたたびチータに戻って黒猫マークを描いた敵機に、クサナギスイトは意味より先に親近感を抱く。『ナ・バ・テア』を読んでいて、途端にあることが判らなくなった。 彼らが言うところの、「大人」や「子供」とは何だろうか。何年ぶりかに会った親族に言われた「大人になったね。」という言葉みたいに、それは自分を子供とみて発したものなのか、額面どおり大人に発したものなのか、考えてみると判然としない。そんなどこか飲み込み難い違和感を、同じように、本作中の「大人」と「子供」という言葉にも覚えた。 原因は、おそらく「キルドレ」という概念にあるのだと思う。しか... | ||
クレィドゥ・ザ・スカイ (中公文庫 も 25-7)森博嗣 ¥ 680 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
クレィドゥ・ザ・スカイ (... | |
| 前巻までは、一人称視点の語り口に、ミステリーで培われたと思われる情報の抑制が効いていて、絶妙な小説だと思っていました。しかし、この巻では主人公「僕」は誰?ということに読者の関心が向くようになっており、まさに犯人捜しをするミステリー小説のようになっています。 私は、ミステリー小説を読むと、読者を誘導しようとする姑息な作者の姿が見えてきて楽しめないたちなので、他の巻では感じなかった不満を感じながら読むことになりました。そういった点で、すこしこの巻は毛並みが違います。 最後に主人公は明かされますが、どうとでも取れるようなもので、それまたもどかしい。 でも、クサナギとカンナミの関係が示唆されたり、物語の時系列的に次のスカイ・クロラでの登場人物の気持ちを推察したりと、最初に戻って読み返したいという気持ちが起きますので、シリーズ中で必須の巻と言えるでしょう。思うに私の感想って、本当に自分の気持ちの感想文です。初めて本を手にする人に参考にはならないでしょうね(笑)読んだ人には理解してもらえ得るのかと・・・。あなたはう感じたんだ・・と。おっと、ムダ話!!失礼しました。この本は本当に「どういうこと... | ||
スカイ・クロラ森博嗣 ¥ 1,995 通常4〜5日以内に発送 ★★★★★ |
スカイ・クロラ | |
| このシリーズの内容は本当に好きなのですが、 カバーの左下にくっついてくる 「スカイクロラ 全国ロードショー」みたいな宣伝が邪魔で不愉快です このシリーズのハードカバーの装丁は非常に綺麗で、 本の中身と外観とどちらからも潔癖な感性が感じられます。 それゆえ本棚にあるこのシリーズを見るだけで、 「綺麗なものだけ見ていたい」そういう感情を抱かずにはいられないものでした。 しかし最近付き始めた、その綺麗な空の中にあまりに無粋に浮かぶ宣伝文句。 空の中にまで「重い汚れ」が入ってきたみたいで非常な嫌悪感を感じてなりません。 なんでこういうことをするのかな映画公開ギリギリタイミングで読破。 最大公約数的な、安易な感想ですが 永遠を生きる苦しみ、有限の幸福ってトコがあるのかなぁ。 とても有意義な読書の時間だったのだけれど 僕のお頭ではうまく出力できないようです。 ところどころ、詩のようなテンポで綴られているのが印象的。 比較的短い割りに、満足感は大きいのでおすすめです。かなり好き嫌いの分かれる作品だと思う。 星一つの人がいるのもわからなくはない。 とにかく文体が独特で淡々としています。 ... | ||
どちらかが魔女 森博嗣シリーズ短編集森博嗣 ¥ 1,890 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
どちらかが魔女 森博嗣シリ... | |
| 今まで出された短編集の中から、S&Nシリーズ短編をセレクトした短編集です。シリーズを未読の方だと、ネタばれになってしまう部分もあるので、出来ればS&NシリーズとVシリーズを一通り読んでからの購読をオススメします。 作中の時間枠に沿って、作品が収録されていまして、それぞれ独立した短編なのですが、通して読むと連作として最初から作られたようなきれいな重なり方をしています。特に最初の「ぶるぶる人形にうってつけの夜」と最後の「刀之津診療所の怪」の仕掛けは、それぞれ別の短編集に納められているときより、格段に判りやすくなっているので、シリーズが好きな方にはとてもオススメです。 | ||
ナ・バ・テア森博嗣 ¥ 1,890 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ナ・バ・テア | |
| 自分の輪郭を認識する必要はない。自分の意思と感覚だけあればいい。 愛とか家族とか優しさを載せた自分の体はとても重い。 生きていくことは荷物が増えていくことだと思っていた。 荷物を背負って生きていくのが人生だと思っていた。 何もかも振り捨てて、自由に孤独に軽やかにダンスを踊る。 そんなことができるのだろうか。 それを希むことは怖くて私にはできない。 でもクサナギが飛んでいるのはとても気持ちが良さそう。棺の中で空だけを見ている。 それだけがリアルだ。 理由も目的もないけれど飛ぶことが楽しい。 理由や目的はわからないけれど会えると嬉しい。 人を好きになったすぐの頃のような気持ちでずっといられたらいいのに。 クサナギは死ぬまでそうやっていられるのだろうか? 21世紀に蘇った『かもめのジョナサン』とも云えるのではないか。 SF的なキャラクター設定を採りながらも、 本シリーズの中身は、実は純文学である。 他人を痛いまでに希求する寂しさを 大空の透明な孤高で昇華する主人公たちに 私たちが果たせない孤独の処理を託してしまう、そんな物語だ。 本書は第二巻ではあるが、 時間... | ||
クレィドゥ・ザ・スカイ森博嗣 ¥ 1,890 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
クレィドゥ・ザ・スカイ | |
| このシリーズの内容は本当に好きなのですが、 カバーの左下にくっついてくる 「スカイクロラ 映画化決定」みたいな宣伝が邪魔で不愉快です。 このシリーズのハードカバーの装丁は非常に綺麗で、 本の中身と外観とどちらからも潔癖な感性が感じられます。 それゆえ本棚にあるこのシリーズを見るだけで、 「綺麗なものだけ見ていたい」そういう感情を抱かずにはいられないものでした。 しかし最近付き始めた、その綺麗な空の中にあまりに無粋に浮かぶ宣伝文句。 空の中にまで「重い汚れ」が入ってきたみたいで非常な嫌悪感を感じてなりません。 なんでこういうことをするのかなスカイ・クロラシリーズの最終巻。時系列としてはスカイ・クロラの前。 生きること、命、老い、戦い、愛、人間、キルドレ、過去、そして自分。 意識したことはなかった。 意識する必要がないと思っていた。 空で戦うことができれば、それで良い。 そんな主人公が、自分・他人と向き合う姿が描かれています。 「なぜ生きるのか」、「自分とは何なのか」 死なない、成長しない、そんなキルドレだからこそ直面してしまう問題ですが 読んでいて、自分と主人公の思考がリンク... | ||
フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life森博嗣 ¥ 1,890 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
フラッタ・リンツ・ライフ―... | |
| 傷つかないようにして生きていくためにどんどん鈍くなっていく。 ぶあつい殻に包まれて自分がどんな形をしているのか分からなくなった。 摩擦がないように生きていく、周りに適応してい生きていく、 そんなことを考えているうちに自分が行きたい方向も見えなくなった。 生きるためだけに生きる。シンプルなことなのに。 瞬時の判断で飛ぶ方向を見定めるパイロットは飛ぶために飛んでいる。シンプルに。 自分のために生きている、と言いたい。誰かに言うのではなくて、 自分に対して正直にそう言えたらいい、と思った。 会いたいと思うこと、生きていてほしいと思うこと 自分がその人に影響するか否かに関わりなく その気持ちを言葉で定義したくない それは生きていくことと同じくらい切なくなるものだと思う。 21世紀に蘇った『かもめのジョナサン』とも云えるのではないか。 SF的なキャラクター設定を採りながらも、 本シリーズの中身は、実は純文学である。 他人を痛いまでに希求する寂しさを 大空の透明な孤高で昇華する主人公たちに 私たちが果たせない孤独の処理を託してしまう、そんな物語だ。 本書は第四巻ではあるが、 時間軸的には... | ||
孤宿の人 (下) (新人物ノベルス) (新人物ノベルス) (新人物ノベルス)宮部みゆき ¥ 924 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
孤宿の人 (下) (新人物... | |
| 宮部みゆきさんのどの作品も、読書好きのだれでもが舌を巻く絶妙な描写と表現力を持ち、様々に交錯する感情の中から、人のもつ愛情、まっすぐなこころを浮きだたせる点においては、この作品もまったくひけを取りません。 そして、この作品の新しさは、宮部さんの得意とする江戸の下町を離れて、美しい海と山道のある地方へと舞台を変え、庶民の生活やこころの繊細なひだを写し取ると同時に、身分ある人々の様相や、こころの葛藤も描いているところでしょう。 庶民と武家の人間の描写においては、その言葉遣いから、立ち居振る舞いといった細微にわたり、一人一人の個性を鮮やかに映し出していきます。その対照的な身分にいるものが、主人公である幼い少女ほうによって、関わりを持つ事を見る事ができるのがこの作品の極めて精巧な面白さでもあります。 ほうが幼いうちから過酷な人生に翻弄されながらも懸命に生きてゆく姿と同時に、まっすぐで素直なこころが彼女に絶大な強さを与えている事にも感動しました。 元幕臣と、ほうがともに過ごすことなどあり得ない事が宮部みゆきによって、可能となり、そのシーンは余にエキサイティングでスリリングで、そしていつ... | ||
フラッタ・リンツ・ライフ (中公文庫 (も25-5))森博嗣 ¥ 680 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
フラッタ・リンツ・ライフ ... | |
| 私だけか??ミステリーだと思うのは。いつも、読み始めてしばらく経つまで、主人公が誰だかわからない・・。これって私の解読力がないから?って戸惑ってましたけど、これが「わざと」かかれてるんだよね??と思いました。いやはやもうこの本を読んでる頃には、このシリーズにはまっていて、特に哲学的な思考っていうのかな?主人公の回想とでもいいますか?そこが、読んでて潔くてきれいと感じました。いつ死んでもいい・・というかその覚悟ができている戦闘機乗りの思考・・・。なるほど・・と。この本を読んで、本当にあ・・・これってミステリーなんだね??と思いました。興味深いです。この映画のアニメのイラストがさわやかでかわいらしい表紙ですが、いやいや・・・深いです。このシリーズの中では、この本の主人公だけが何にも囚われていない、すべての関心が、ただ飛行機と空にだけ向けられていると思います。 だから読んでいて、とても気持ちがいい。 他の4冊は幾分主人公が他に関心や執着を持っている感じがするのです。 この本の主人公は自分の周囲で起こる、自分を含めた出来事をあるがままに受け入れるだけ。 抗いもしない。疑問も持たない。 これっ... | ||
孤宿の人 (上) (新人物ノベルス) (新人物ノベルス)宮部みゆき ¥ 924 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
孤宿の人 (上) (新人物... | |
| 江戸に生まれながら、誰からも顧みられず金比羅参りで棄てられたほうと、彼女を姉妹のように優しく見守る宇佐と言う二人の純真な少女と、国や藩などを先ず考える「大人の世界」の考え方との対立を、丸海藩と言う四国の小藩を舞台に描いてゆきます。 物語は、ほうが慕う医者の娘の毒殺事件から始まります。 犯人もはっきりしているのに不問に付してしまう「大人の世界」に対して、疑問を持つほうと宇佐。 その後もこうした子供の目には不可思議なことが続きます。 その裏には、丸海藩が幕府から押しつけられた元勘定奉行の罪人加賀の受け入れがあります。 彼を“悪霊”として恐れる民意を利用して行われる藩の内紛も蠢いています。 そうした様々な事件を通して、成長してゆく二人の慕いあう少女たちですが、うは大人たちに利用されてゆくことになります。 宇佐は、そんなほうを影ながら心配しています。 そんな純真な魂の触れあいは、心温まるものがあります。 切ないラストですが、なかなか楽しめる一冊です。四国の小藩(モデルは丸亀藩)を舞台に、江戸から放逐された天涯孤独の少女"ほう"、女だてらに岡っ引き(引手)見習いの宇佐を中... | ||
ダウン・ツ・ヘヴン―Down to Heaven森博嗣 ¥ 1,890 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ダウン・ツ・ヘヴン―Dow... | |
| 21世紀に蘇った『かもめのジョナサン』とも云えるのではないか。 SF的なキャラクター設定を採りながらも、 本シリーズの中身は、実は純文学である。 他人を痛いまでに希求する寂しさを 大空の透明な孤高で昇華する主人公たちに 私たちが果たせない孤独の処理を託してしまう、そんな物語だ。 本書は第三巻ではあるが、 時間軸的には第二巻にあたる。 シリーズを通した主人公、クサナギの パイロット中期時代が描かれている。 今までに出てこなかった組織や社会といったファクターが 物語の中に色濃い影を落としてくる巻である。 その束縛は高空の空気の薄さよりも、息苦しい。 であるからこそ孤高の空の自由度が 簡潔、かつ的確な表現と相俟って より強いカタルシスを生んでいる。 スカイクロラシリーズ3作目。 ここまできても明らかにされない詳細な世界観。 主人公「僕」の辿る空と地上の物語。 十八番の専門用語で綴られるスピード感は一段と増している。この話で、「ナ・バ・テア」や「スカイ・クロラ」のように自由に空を飛べる事が難しくなっている。まるで、大人の契約に駄々をこねる子供のように、自分がしたいように出来ない、なら... | ||
すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)森博嗣 ¥ 770 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
すべてがFになる―THE ... | |
| 私にはよく分からないと感じる事が多い作品でした。 主人公2人、四季ともに天才であるらしいがそれの描写があまりない。 登場人物に共感出来る部分や魅力を感じられ無かった。 所員にコンピュータにはエラーや手落ちが無いとあれだけ言わせたが、トリックはコンピュータの仕組みがらみ。そのトリックだと記録が残らないって言われても納得できません。 犀川が煙草を吸う描写の異常な多さ、そこまで必要だったのか。モエが妹へ嫉妬するのもいらなかった。 所員なら客を「ゲスト」として迎え入れられるシステムにしたのなら、イレギュラーな来訪者が訪れる事も予測するべき、天であるなら。 タイトルの「すべて」は何を指していたのか。すべてって言うほど数が多かった気がしない。 理系ミステリらしいのだがどこが理系だったのか、16進数とコンピュータの話だから理系という訳では無いと思う。 謎解きもスリル感も哲学的っぽい会話も、どれを楽しもうとしても中途半端に感じた。全体的な感想としては、まあまあ面白かったというところ。少し長い。 会話やキャラがいいと思う。ミステリとして読むとがっかりするかも。 【良かった点】 ・真賀田四季のかっ... | ||
ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫)森博嗣 ¥ 680 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ダウン・ツ・ヘヴン (中公... | |
| グングン読み進めていけちゃうような、おもしろさではないけれど、好感をもって主人公を追っていけるスピード感がよかったです。まだこの本を読んでいるときは、私もこの本の中で戦いを楽しんでいるようなお気楽さがありました。おもしろいな!!と思いで次の「フリッタ・リンツ・ライフ」へうきうきとした気分で手を伸ばしました。次からだんだんとミステリーですスカイ・クロラシリーズの第3弾。 今回は草薙水素の戦闘時代が描かれます。 飛ぶことだけを夢見て、飛んでるときだけに『生』を感じる。 敵を落とし、仲間が死に、それでも戦う。なぜなら空に飛ぶことが自由でいることを実感できる空間だから。 スカイ・クロアシリーズで一環して語られている、この感覚。 飛ぶ=自由。 キルドレとして一生大人にならない体を与えられ、死と生のすれすれの空間で戦い続けているにもかかわらず、『死』に対して重く捕らえるところはなく、自由に飛びまわれるために余計な重さをそぎ落とした戦闘機散香のように、文体もただ飛ぶ=自由についてのみ純粋に描かれている。 だからこそ、負傷し翼を失った戦士キルドレ草薙の療養生活は、いに憂鬱で不自由で、砂漠の中で行... | ||
ぼんくら〈上〉 (講談社文庫)宮部みゆき ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ぼんくら〈上〉 (講談社文... | |
| 最初は短編集のような構成でいながら、段々と謎が謎を読んできます。 途中江戸時代にいるのを忘れるほど、どっぷりワールドに浸れます。 主人公はいい加減さも持つけど、人として大事な部分はきちんと持っていて、 その人から見る様々な登場人物が、よくも悪くも巧みに描かれています。 私は特殊技能を持つ二人の子供が気に入りました。 宮部さんの本を読んでいると、はっとする程印象的な言葉に必ずぶち当たります。 えぐい程きめ細かい心理考察と、でも、最後に人間への温かさを忘れない眼差しが、 著者の本を読みたくなる所以ですね。 他の時代物ともリンクする人物の登場にニヤリとしました。 お勧めです!宮部さんは大好きで、ほとんどを読ませてもらったつもりです。 ぼんくらも、ヒョウヒョウとした平四郎。でも、自分分をちゃんとわきまえていたり、弓之介の大人顔負けの頭の良さ、そして孤独感しいおねしょのエピソード。手抜きなく、人にやさい、宮部さんの世界観がうれしいです。江戸・深川の鉄瓶長屋。 なんの変哲もないこの長屋で八百屋の太助が殺されたことがそもそもの発端となり、店子に信頼されていた差配人が姿を消した。 新しく来... | ||